本書の内容を一部ご紹介

一色-1  今日のご相談をどうぞ。


見原-1  (机にある事前に相談内容を記入した紙を見て) これを読むんですか?(1)



(1)の解説

(1) 見原-1  これを読むんですか?


【一色の解説】

 紙を見て話したいという様子から、罪悪感がある、見抜かれる、という思いがあるとわかる。このように、罪悪感がある時は頭が回らないので、まごつくために、紙を見て話さないと不安だと感じるからである。話し始めても、時々紙を見ていた。


【見原のコメント】

 「これを読むんですか?」と思わず言葉が出た。確かに自分が何かを隠しているという感覚がこのときにもあった。問題を解決するために来ているのに、包み隠さず話すことができない。できるだけ、自分の欠点、恥を暴露したくなかった。そのためにごまかしたかったが、逆にあっさりと罪悪感がばれてしまっていたとは。

 ごまかすも何も、解決したいから、そこを見抜くことができる相手にカウンセリングをお願いしているという矛盾にも気づいていない。未来の自分※は解決を望み、自分をここに連れてきたが、インナーチャイルド※は回避したいので、この期に及んでごまかそうとしているということか。


※ 未来の自分とは、深層意識の中のまだ顕現していない部分で、優れた自己のこと。

※ インナーチャイルドとは自分の心の中の未熟な部分で、成長の足を引っ張る存在のこと。幼児期のままで心の成長が止まっているので、過去の自分とも言える。どんな人にもインナーチャイルドは存在する。


【一色のさらなる解説】

 相談内容を事前に記入するのに、なぜ最初に口頭で言ってもらうかというと、そのほうが本音が出るからである。記入内容とのずれがあると、そこがポイントになっていることが多い。また、話していると感情が出てくるので本題に入りやすいからである。



(カウンセリングの続き)

一色-2  いや、読むのではなくて、ご自分で言ってください。


見原-2  はい。今、区役所で総務省の仕事をしているんですけれども、去年の3月から一応 2年契約の嘱託なんですけれども、やってみて今、とても面白いと言いますか(2) 続けたいなと思っているんです。

  (途中 一部省略)


 予約制の仕事なので、予約がだんだん入らなくなってきている状態になってきて、今は日によってはマックスの時の2分の1とか3分の1ぐらいの予約数しか入らない。暇な状態が続いているけど、そこにはいなきゃいけない。これはあまり私にとっては良い状態ではないな、ということで、できれば予約いっぱいという状態を続けたいと思っています。


この予約を増やすにはどうするかな、というのと、それに関連してカウンセラーとか講師もやっていますけれども、それが時期を同じにして全然…ほぼ申し込みがない状態が続いています。それと並行して、だんだんやりたいという欲が出てこなくなってしまっていて、前だったらもっと集客を頑張ろうと思っていたんですけれども、集客する気持ちがほぼない、というのがあります。


 それで、辞めたいなら辞めればいいというところだと思いますから、本当に決めればいいだけでしょう。エネルギーを出せばいいとわかるんですけれども…。(3)

(続く…)

(2)の解説

(2)見原-2 やってみて今、とても面白いと言いますか


【一色の解説】

 「とても面白い」にうそを感じる。そのあとの説明が長いところにごまかしのにおいがする。カウンセリング時、相談者の細かな内情などの説明が長い時は、ごまかしをしている可能性が高い。


【見原のコメント】

 正直、区役所の仕事が面白いとは思っていない。でも続けていきたい。暇は良くないことだと思っている。だから、良くない状況は改善しないといけないということを言いたかった。本当は、区役所で予約が少ないということを、あえて自分のカウンセラーとしての状態にリンクさせて、わざと問題にしているだけだ。

 確かに、長々と話しているのは話す内容を吟味しているから。まだボロを出したくないというプライドかもしれない。


【一色のさらなる解説】

 このような相談内容は、そもそもカウンセリングに来て話す内容ではない。区役所の仕事が暇だからなんとかしたいならば、区役所に相談すべきこと。それではカウンセリングにならないから、暇な状態をカウンセリングとリンクさせてあたかも関係があるように話している。表面的な言葉で本心をごまかそうとしているのがわかる。

 この「見原-2」あたりで、この人の本当の問題点が見えてくるので、ゴールがわかる。楽でかっこいい仕事をしたいだけなのだとわかる。つまり「集客したくないけど、講師として活動したい」と思っているので、「それはずるいでしょ?」という罪悪感を隠している。だから、役所でも集客を頑張ろうとしている様子を見せて、ずるさをごまかしている。

本書では、このようなコメントや解説を100項目以上お読みいただけます

一色先生「はじめに」をご紹介

はじめに 一色 真宇


 本書は、「一色真宇直伝!さまざまな切り口から解決に導く【誘導瞑想のすすめ方講座】」での公開カウンセリングを元にしています。

 これはフラクタル心理カウンセラーを育成・指導するための講座で、講座のあとでカウンセリング時のやりとりの書き起こしに一色真宇による心理の分析や解説を加えて、講座後に参加者に提供するものです。ですから、参加者はすべてフラクタル心理カウンセラーの資格者です。

 その解説を読んだモニター相談者の一人が、カウンセリング中に思ったことやその後に気づいたことなどをフィードバックしてくれたことから、さらにそれに一色真宇の解説を加えて、本書が完成することとなりました。


 モニター相談者となった見原千秋さんは60代の女性で、フラクタル心理カウンセラーとして活動をしており、講師もしていました。今は特に大きな問題があるわけではありません。しかし、日々悶々としています。

このようなタイプのかたのカウンセリングはとても難しいものです。

何かのトラブルがあるとか、病気があるとか、人間関係が悪いなどの悩みは、あきらかな現象が生じているので、フラクタル心理学ではすぐに原因をみつけることができます。しかし、特に困っている問題がなく、ただ悶々としている場合、本人は気づかない壁にぶつかっていることが多いのです。それは成長の壁です。

フラクタル心理学では「すべての原因は傲慢・怠慢・無知」と学びます。その中でも、困っている問題を作るのは傲慢と怠慢が主なので、フラクタル心理学のカウンセリングやそれを学ぶ過程で、多くの人はそのテーマについては何度も取り組みます。そして、その努力の効果は意外と早く出て、そのうちに問題解決できたでしょう。しかし、無知はそうはいかないのです。無知とは「知らないこと」。知らないものを知ることほど難しいことはありません。そのため、無知は成長の壁を作ります。

もろちん、フラクタル心理学の主要コースであるマスターコースのテキストの中には、いくらでも無知を補う知識があります。しかし、それを学んだとしても、それはまだ知識にすぎません。体験していないことも多いので、それを自分が本当に理解しているのかどうかはわからないのです。

本書は無知に気づくことになった見原千秋さんの貴重な体験を細かく記録しています。カウンセリングを読んでいただければわかると思いますが、何度問われても、何度教えられても、全く理解できない様子が見て取れるでしょう。そして、ループに入ってしまいます。これが無知という状態なのです。壁の先がわからず、そのまま元に戻ってしまいます。どんなに言葉で説明しても、そもそも言葉の定義が異なっているので、理解ができません。「定義の間違い」もフラクタル心理学が特に強調する、問題を作る元となります。欲しいものの定義が間違っていると、いつまで経っても欲しいものが手に入りません。ところが、自分では理解しているつもりなので、その先に進むことができないのです。

 こういう無知に基づく原因はすぐに直すことができません。これは時間とともに成長し、実際に体験することで理解するものだからです。ですから、こういうタイプの人のカウンセリングは、一見なんの変化も起きなかったように思えます。しかし、私としては、カウンセリング中に必ず未来のための種をまいているのです。それが何年先に芽を出すかはわからないのですが。

 幸いなことに見原さんは、このカウンセリングの約1か月後に手にしたカウンセリング記録の解説を読んで、その後、自分が「無知」であり、定義も間違っていることに気づきました。これはとてもまれなことです。

 本書で読者の皆様に私がお伝えしたいことは、無知という発達不全の状態とは何か、多くの定義の間違いが何を阻んでいるか、そして、それを知ったときの驚きと目の前が開けた感覚です。多くの人が夢を叶えたくて努力をしても、なかなかたどり着けなかったりすることがあるのは、この無知のせいであることが多いのです。

世の中には大成功者を堂々と批判する人がたくさんいますが、その人たちもほとんどが無知のために批判をしています。つまり、自分の無知に気づかない人は大量にいるのです。逆に言えば、人生の中で無知に気づくことはかなり貴重なことなのです。

一般的には、経済的危機や健康被害があって、それを何とかしたいと真剣になるとき、成長のきっかけとなります。しかし、それはあまり体験したくないでしょう。平安なときにそれを乗り越えて成長するのはとても難しいことです。

 読者の皆様も本書を読むことで、ぜひ、無知というものに気づく疑似体験をしていただければと思います。きっと、自分の成長を阻んでいた壁に気づけることでしょう。そして、それを突破していっていただくことを願っています。

 また、「カウンセラーとして必要な資質とは何か」を知ることもできるでしょう。本書がより良いカウンセリングを実践していけるヒントになれば幸いです。

第一部 カウンセリング全文・音声 1冊

・A4版 27ページ / カウンセリング音声 52分43秒(MP3)


誘導瞑想のすすめ方講座で行われたセッションの書き起こしと音声

第二部 カウンセリング内容の解説 1冊

・A4版 62ページ


講座後に送付した解説書に加え、その後の相談者の心の軌跡とそれに対する一色の解説